言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

今、この手触りからふいに―ポール・オースター『内面からの報告書』

今回紹介する一冊、ポール・オースター『内面からの報告書』は『冬の日誌』に引き続き、私にとって二冊目のポール・オースター作品となった。 妙なこともあるもので、年齢も国も違うポール・オースターという大作家と自分が似たような記憶を共有していること…

世界との接触、たとえば朝起きてちいさないきものを撫でるとか―ポール・オースター『冬の日誌』

生きるということがどんなことであるのか、ひと言で表現するのは難しいけれど、毎日なにがしかの文章を書きながら考えていること、それは生きるということが世界との絶えざる接触であるということだ。私は午前四時前に起きる、その時まずある感覚は全身のこ…

糸玉の中心、ほどけどもほどけども―谷崎由依『囚われの島』

私はこの作品をすぐれた幻想小説として読んだ。 谷崎由依『囚われの島』(河出書房新社、2017年) 初出『文藝』2016年冬号 囚われの島 作者: 谷崎由依 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/06/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ※当ブ…

天空と海洋のはざまで夢をみる―ル・クレジオ『黄金探索者』

この小説は天空と海洋の、途方もなく広い世界へとひらかれた物語である。 ル・クレジオ 著、中地義和 訳『黄金探索者』(新潮社、1993年) のち『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集Ⅱ-09』(河出書房新社、2009年)所収。 ※当ブログ内の引用ページ番号は『池…