言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

写真ってなんだ?―スーザン・ソンタグ『写真論』

今回はスーザン・ソンタグの『写真論』を読んで考えたことを書いてみようと思う。この本を読むまで、そもそも写真とは何か? どういう性質のものであるか? などと考えたことはなかった。考える暇もなく、現代の我々はスマホで気軽に写真を撮るのである。こ…

<既知>なるものからにじみ出る<変>―コルタサル『海に投げこまれた瓶』

久しぶりにフリオ・コルタサルの短篇集を読んだ。やっぱり好きである。今回読んだのは、『海に投げこまれた瓶』という短篇集で、収録されている作品は以下の八作品である。 ・「海に投げこまれた瓶」 ・「局面の終わり」 ・「二度目の遠征」 ・「サタルサ」 …

弔いのかたち―杉本裕孝「弔い」

人は二度死ぬ。一度目は生物として死んだ時、二度目は人に忘れ去られた時だ、なとどいうのは一体どこで聞いた言葉だったかあやふやだが、馴染のある感覚である。 杉本裕孝「弔い」という作品では、人は二度生きる。一度目は死ぬ前の生、つまりふつうに生きて…

読書はひとを連れてくる、そうしてひとを連れ去っていく―稲垣足穂について

今回は稲垣足穂(1900-1977)を紹介しようと思う。 稲垣足穂『現代詩文庫1037 稲垣足穂』(思潮社、1989年) 稲垣足穂『ちくま日本文学全集 稲垣足穂』(筑摩書房、1991年) 稲垣足穂 [ちくま日本文学016] 作者: 稲垣足穂 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日:…

「声」は「祈り」だった―スベトラーナ・アレクシエーヴィッチ『チェルノブイリの祈り』

今更、私のブログで話題にする必要があるのだろうか? そう思ってブログの更新をためらってしまうほどに有名な本、『チェルノブイリの祈り』。作者スベトラーナ・アレクシエーヴィッチは昨年(2015年)ノーベル文学賞を受賞したベラルーシのノンフィクション…