言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒトとウミウシと――「うれし、たのし、ウミウシ。」を読んだ感想

タイトルからウミウシのマニア本だと思って手にとっては見たものの、 実はそれほどウミウシについては語っていなかった……(苦笑)タイトルが誤解を招くのがいただけないかもしれない。語感はよく、なんだか楽しそうで「幸せな」タイトルではあるが。 この本…

「再構築のために徹底的に破壊しろ。」――羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」(第153回芥川賞受賞作)

羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」(第153回芥川賞受賞作)について率直な感想を書いていこうと思う。 以下の引用頁番号はすべて『文芸春秋』2015年9月号に掲載されたものである。 28才無職(求職中)の主人公健斗が、実家で母とともに祖父の介護に携わ…

「現実サイズ」とは違った日和――滝口悠生「わたしの小春日和」

滝口悠生「わたしの小春日和」(新潮2012年12月号) 今期の芥川賞ノミネート作家、滝口悠生。 その作品「ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」については以前書いたので、今回は敢えて「わたしの小春日和」(新潮2012年12月号掲載)を掘り出して感想をま…

交流、混淆、変容 ―『アイヌ学入門』という本から再確認した文化観

長い間漠然と疑問に思っていたことに、なんとなく決着がついたような心持になっている……。そういうことってありませんか? すっきりしたというか、なんとなく思考の入り口みたいなものが見つかってほっとしたというか。 瀬川拓郎『アイヌ学入門』(講談社現…