言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

30年という時間―津島佑子『半減期を祝って』

今回は津島佑子『半減期を祝って』という本について感想を書いていきたい。この本には表題作のほか「ニューヨーク、ニューヨーク」「オートバイ、あるいは夢の手触り」という短篇小説が収録されている(初出はいずれも『群像』)。 半減期を祝って 作者: 津…

言葉と沈黙―ル・クレジオ『悪魔祓い』

どうしてそんなことがあり得たのかよくわからないのだが、とにかくそういう具合なのだ。つまりわたしはインディオなのである。メキシコやパナマでインディオたちに出会うまで、わたしがインディオであるとは知らなかった。今では、わたしはそれを知っている…

黒くぬらぬらしたものが―沼田真佑「影裏」

第122回文學界新人賞受賞作であり、同時に第157回(平成29年上半期)芥川賞受賞作の「影裏」について、ようやく何か書けそうな気がする。非常に技術力の高い描写で話題のこの作品、実は一読目には良さがよくわからなかった。「うまい」のはわかる。だけれど…

意識の宛先―滝口悠生『茄子の輝き』

こんなちっぽけなブログを、ひとりでちまちまと書いている自分を、いつか別の自分が思い出すかもしれない。そのいつかの自分のために、こうして「意識の宛先」みたいなものを残しておいてやろうと思うのも、この小説のたのしみかたのひとつかもしれない。い…

『MONKEY』という文芸誌のこと―将来を明るく見据える支援?

「月刊」ということにこだわらなければ、面白そうな文芸誌っていっぱいある。 今回ご紹介するのは『MONKEY』という文芸誌。 柴田元幸責任編集 MONKEY 「翻訳家の柴田元幸が責任編集を務めるMONKEYは、今私たちが住む世界の魅力を伝えるための文芸誌です。い…