言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

盗み続ける書評―仙田学「盗まれた遺書」

我々は、日々、生きる中で、盗み続けているのかもしれない。 「盗み続ける書評」という言葉をふと思いついた時、この作品の怖さにぶち当たったような気分になった。 「遺書を読みこめば読みこむほど、自分のもとに届いたことが当然のように思えてならなくな…

遭遇してしまったので。―仙田学『盗まれた遺書』

www.youtube.com 思うに「ある作家に遭遇する」ということは、その作家の書籍や作品を見かけるということとは別のことだ。見かけるだけなら、年間何百人もの作家の存在があるが、それは遭遇ではない。「読んだ」というのも遭遇ではない気がする。ある作家に…

小説は自由だ―コルタサル『悪魔の涎・追い求める男』

今回で一連の(?)コルタサル更新は終わりにしたいと思います。1年に1作は面白いラテンアメリカ文学に出会えている気がするここ数年……幸せなことです。 さて今回は、『コルタサル短篇集 悪魔の涎・追い求める男 他八篇』(木村榮一訳 岩波文庫 1992)より、…

未知の、既知の感慨―滝口悠生「死んでいない者」

今回は前回までのコルタサル更新を一旦停止して、滝口悠生「死んでいない者」(文學界2015年12月号掲載)の感想を書きます。 文學界 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 「押し寄せてきては引き、また…

倒錯/断絶―『コルタサル短篇集 悪魔の男・追い求める男』

コルタサルの短篇小説を読んで、生まれて初めて「短篇小説って短い小説っていう意味じゃないんだ!!」と思いました(嘘のようなほんとの話)。『対岸』『八面体』などコルタサル短篇集の付録にコルタサルの短篇諸説観が掲載されているのですが、怖いものす…

日常という秩序の崩壊―コルタサル『悪魔の涎・追い求める男 他八篇』

お久しぶりの更新になってしまいました。長編小説を書いている間はだいたいこのくらいの亀更新になります。いつも見に来てくださる方、ありがとうございます。のんびりですが、これからも読書感想文(?)頑張りますね。] 悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コ…