言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

振り捨てていくもの―ル・クレジオ『心は燃える』

今回は、ル・クレジオ『心は燃える』の感想を書いていきたいと思う。 ル・クレジオ 著、中地義和・鈴木雅生 訳『心は燃える』(作品社、2017年) 心は燃える 作者: ル・クレジオ,中地義和,鈴木雅生 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2017/08/25 メディア: 単…

声の波間を―古川真人「ラッコの家」

今と昔が重なり合う瞬間というのがあるとすれば、それは生きていることの、生きてきたことの、生きていくことの肯定であると思う。 タツコは「声」によって描き出された空間の中にぽっかりと浮かび、踏み外して落ちた海にぽっかりと浮かぶ子供時代の自分を見…

キノコ本、再び生える―『FUNGI 菌類小説選集 第Ⅱコロニー』

まさかすでに生えていたなんて……。 私の脳裡に深く根を下ろしている記憶、それはかつて彼女が「そこらへんの本屋に普通に生えていたの」と言いながら一冊の本を持ち帰った日の思い出。 ※過去記事参照↓ mihiromer.hatenablog.com 時はうつろい、その彼女も今…

死に対して!―ペイショット『ガルヴェイアスの犬』

はじめて、ポルトガルの小説を読んだ。これまでスペイン語圏の小説はずいぶんと楽しんできたけれど、どうしてなのか、ポルトガル語圏の小説にはなかなか縁がなかったのだ。実際読んでみると、やはり雰囲気が違うなぁというのが素朴な印象で、例えばリスボン…