言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2025-01-01から1年間の記事一覧

つながり合う景色―山田淳子『わたしの百人の祖父母たち 北方領土・元島民の肖像』

書店で見かけて、立ち止まった。大事な本だと思って手を伸ばし、本書を開いて、あ、これはしんどくなるやつだ……と思った。どうして人は生きている間に、祖父母や両親、自分が知らない世界を知っていたはずの人々の話を聞かないで過ごしてしまうんだろう。後…

本当とは何か? 嘘とは何か?―小山田浩子『作文』

「この物語はフィクションであり、実在する団体・人物等とは一切関係がありません。」 よく見かける文が本書の後ろにも小さく印刷されているのに気がついた。 後半は普通にわかる。本書に登場する人名やSNSのアカウント名はこの作品のための「創作」であって…

傷痕ひとつ、もうひとつ―石原燃「いくつかの輪郭とその断片」

自分が傷ついていることを、傷ついた瞬間に気がつけるものなんだろうか、と思う。その時の感情を後で振り返って、言葉にすることができて、そうしてはじめて見つかる傷痕をいくつも抱えて生きているんじゃないだろうか。ある出来事とそれに付随する感情がず…

アイヌ語を書く/アイヌを書く―石村博子『ピリカチカッポ(美しい鳥) 知里幸恵とアイヌ神謡集』

アイヌ語を勉強し始めて、だいたい1年が経った。 テキストを二冊通読したところで、次に手に取るテキストがなく、ここから先どうやって勉強をしたらいいのか?と自分で考えていかないといけなかったりするのが英語やドイツ語とは違うところで、なかなか苦労…

水の変幻、その感触―小山田浩子『ものごころ』

今回は小山田浩子さんの『ものごころ』を読んだ感想を書いていこうと思う。 見えないものを、あるいは見えなくなってしまったものを見ようとする小説の試みを強く感じる一冊だった。 小山田浩子『ものごころ』(文藝春秋、2025年) ものごころ 作者:小山田 …

ディープさの底のほうで―小山田浩子『最近』

数年前の出来事を思い出そうとすると時間の基準がコロナ禍になっていることに気がついた。あれはコロナの前だったとか後だったとか、マスクをしていた顔、ワクチンの副反応で出た高熱、そういうコロナに纏わる出来事を人生のマイルストーンみたいにして考え…

おーい。―滝口悠生『水平線』

おーい。 読み終えて、こう言いたくなった。おーい。これは誰の声なんだろうと言ったら、いやお前だろ、と返ってきたりして、でもそのお前って誰だと思うって、私は誰に聞いているんだろう?インターネット上の言葉はどこか漂流物めいている。 小説を読んだ…