言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

想像力で戦う―村上春樹「かえるくん、東京を救う」

「ジョセフ・コンラッドが書いているように、真の恐怖とは人間が自らの想像力に対して抱く恐怖のことです。」 (「かえるくん、東京を救う」『はじめての文学 村上春樹』(文藝春秋 2006)より引用) 今年最後に紹介する小説は、村上春樹の短篇小説「かえる…

主観の渦の中、永遠のよそ者K―カフカ『城』を読んで

フランツ・カフカの短篇をいくつか読んだ後は、是非とも長篇も! ということで長い間積み本になっていた「城」の征服に乗り出してみましたが……。遭難しましたッ!ひとまず読み終えることはできたし、数年前に積んだ時よりは面白さがわかったような気がします…

転移―『カフカ短篇集』より「火夫」「橋」「人魚の沈黙」

今回も前回までに引き続きカフカ短篇集についての更新です。 池内紀編訳『カフカ短篇集』(岩波文庫 1987)から「火夫」「橋」「人魚の沈黙」について書いていきます。 カフカ短篇集 (岩波文庫) 作者: カフカ,池内紀 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1987…

断言できないもの―『カフカ短篇集』より「流刑地にて」「父の気がかり」「狩人グラフス」

一冊の本を読むと、しばらくその本についてのブログ更新が続く……というパターンがすっかり安定してきました。今回は前回の続き、岩波文庫の『カフカ短篇集』から「流刑地にて」「父の気がかり」「狩人グラフス」について書いていきたいと思います。 カフカ短…

他者との関係性、距離―仙田学『盗まれた遺書』

今回は仙田学『盗まれた遺書』より短篇小説「肉の恋」「乳に渇く」「ストリチア」について書いていきたいと思います。 盗まれた遺書 作者: 仙田学 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/03/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 『…