言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

寸断されたコミュニケーション―松波太郎「ホモサピエンスの瞬間」

吃音というものが実際どういうものであるのか、厳密な定義はよくわからないが、私にはどもっていた時期がある。どういうわけだか「どもる」のは常に職場だけであり、そこでの日常生活に著しく支障をきたしていたが、休日に仕事とは全く別の場所、別の人と話…

海から受取ったものを海へ返す―アン・モロウ・リンドバーグ『海からの贈物』

美しく生きるのは難しい。世界がごちゃごちゃになっている、というのが最近のニュースやSNSを見ていて思う私の雑感だったりする。そう世界がごちゃごちゃ。これは自分が大人になったから引き受けなければならなくなった社会的な責任なのか、それともやっぱり…

収斂しないイメージ、無限定なメキシコ―カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』

カルロス・フエンテス(1928-2012)という小説家の作品を今回初めて読んだ。今回はこの本についての感想。 カルロス・フエンテス、寺尾隆吉 訳『澄みわたる大地』(現代企画室、2012年) 澄みわたる大地 作者: カルロスフエンテス,Carlos Fuentes,寺尾隆吉 …

誰かの空虚を埋める言葉―仙田学「愛と愛と愛」

仙田学が変態はじめしたの。TLのばたばたしてるときに、いつもはあたしが買わない文芸誌でうろうろしてるから、いいぞもっとやれって検索かけたら……。 (@MihiroMer twitterより抜粋) 今回は仙田学「愛と愛と愛」(160枚、文藝2016年秋号掲載)について書い…

死者のおしゃべり小説―フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』

道は上りになったり下りになったりしていた。「行くか来るかで、上りになったり下りになったりするんだよ。行く人には上り坂、来る人には下り坂」 「下の方に見えるあの町はなんていうんだい?」 「コマラだよ、旦那」 (前掲書、8頁より引用) ラテンアメリ…

見る/見られる、眼差の戦争―ル・クレジオ『戦争』

先日、このブログを始めてから1年経ちました、というメールが届いた。どうやら1年続いたらしい当ブログ。1周年記念を謳った特別な更新は何もしないけれど、今後とも当ブログをよろしくお願いします(いつも見に来てくれる方々、本当にありがとうございます!…