言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2019-01-01から1年間の記事一覧

言葉をなめて齧る夜―オルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』

装幀がかわいいな、と思った。ページをめくると、このカバー絵は、アリツィア・S・ウルバニャック(Alicja S.Urbaniak)の「秋」(Autumn)という作品であることがわかった。今回は2018年ノーベル文学賞を受賞したオルガ・トカルチュクの『昼の家、夜の家』…

大地と時と人と―パール・バック『大地』

パール・バックという人の作品をはじめて手に取った。 岩波文庫で全4冊ある長篇小説『大地』である。 パール・バック著、小野寺健 訳『大地』(全四巻、岩波文庫、1997年) 大地 (1) (岩波文庫) 作者:パール・バック 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1997…

転回―大前粟生『回転草』

大前粟生『回転草』を読んだ。 既存の思考の枠組みをいい意味で取り払ってくれる、かなりはちゃめちゃな一冊である。まず設定がはちゃめちゃであり、何故そうであるのか一切説明されないままに、たとえば語り手が西部劇の乾いた風に転がる草だったり、ミカが…

野生の馬、その美しい不在―パスカル・キニャール『落馬する人々〈最後の王国7〉』

水声社から刊行されている「パスカル・キニャール・コレクション」の中でも、私は特に〈最後の王国〉シリーズを楽しみにしていて、全巻購入しようと思っている。部屋の片隅で夢中になって読んでいるうちに、時間は過ぎ、日は暮れて、思えばその日一日はだれ…