雑踏に、遠景になる者―カフカ「失踪者」

「カフカエスク」という言葉があることを最近知った。「カフカのような」、とか「カフカ作品にあるような不条理な」、という意味らしい。年末からしばらくカフカ作品に触れ、ずいぶん「カフカエスク」を味わってきた気がする。今回は2015年末に読んでいた「失踪者」というカフカの長篇小説について、その感想を書いていき…