言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

何故かムーミンシリーズの小説を読み始めたこと

最近、職場の人に誘われて、今更という感じではあったのだけれどムーミンのアプリゲームを始めた。こういうものに、どうしてもお金をかけたくないと思ってしまうので課金はせずにのんびり時間にまかせてプレイしているのだけど、結構面白い。キャラクターやムーミン谷のイラストがとても凝っていて、そのせいか動作が時々重く、わたしの古いアイフォンの充電はすぐになくなってしまう。だけれど、面白い。

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面白いからこそ、気になり始めて、突然ムーミンの原作小説を読み始めていた。今回はその作品について少し書いておきたいと思う。

日本では、おそらくアニメ版が一番有名でわたしの中にも「ねぇ~ムーミン♪」という歌のフレーズだけが何故か記憶にあったりする。だからそれほど古いものではないだろうと思ていたのだが、小説の第一作が発表されたのは1945年だそうだ。

ムーミンシリーズの作者であるトーベ・ヤンソン(1941-2001)はフィンランドヘルシンキ生まれ、実は全く知らなかったのだが、ムーミン以外にも小説作品を残している。

アプリゲームで遊んでいるうちに、そういえばムーミンシリーズって何だったの?どういう設定でどういうストーリーなの?と気になった人が私以外にもいるかもしれないのでこんな記事を書いておくことにした。

ざっくり、ムーミンの原作小説についてメモをしておくとこんな感じだ。

 

・『小さなトロールと大きな洪水』(1945年)

・『ムーミン谷の彗星』(1946年、1956年改訂、1968年三訂)

・『たのしいムーミン一家』(1948年)

・『ムーミンパパの思い出』(1950年)

・『ムーミン谷の夏まつり』(1954年)

・『ムーミン谷の冬』(1957年)

・『ムーミン谷の仲間たち』(1963年)

・『ムーミンパパ海へ行く』(1965年)

・『ムーミン谷の十一月』(1970年)

 

今現在私が読んだ作品は、読んだ順に書いていくと「たのしいムーミン一家」「ムーミン谷の夏まつり」「ムーミン谷の彗星」「ムーミンパパの思い出」だ。詳しい人に聞いてみると、どうやら「たのしいムーミン一家」という作品が一番とっつきやすくメジャーなものらしいので、ここから読み始めるといいのかもしれない(ちなみに「たのしいムーミン一家」にはアプリゲームをある程度ぼちぼち進めていくと登場するお馴染みのキャラクターが揃って登場する)。

 

ただ、小説を読み進めているとムーミン・シリーズはキャラクターグッズの可愛さほど、ほのぼのした物語ではないのだろうな、という気がしてくる。とにかくムーミン谷は自然災害に見舞われてばかりだ。洪水が起きたり、干ばつで海がなくなったり、彗星が降ってきて地球自体が危機的状況に陥っていたり……。『たのしいムーミン一家』という優しい雰囲気を感じる作品でも細かく見ていけば「あいつ嫌いな奴だからどうなってもいいや」というようないじわるとか、綺麗じゃない感情も描かれている。キャラクターたちの変な癖や、思考の偏りなんかも書かれている。

作者は「ムーミンたち」という架空の存在を書きながら、生きるという感覚、様々な生き方について考えていたのではないだろうか?災害に見舞われてばかりいるドタバタなストーリーが多いが(とにかく冒険が好きなのである)、それらはすべて日常生活に接続している。まだシリーズすべてを読んだわけではないので断言はできないのだけれど、これはきっと素晴らしい文学の営みなのだろうと私は思っている。もしかしたら、今後、ムーミンシリーズについてもっと詳しい感想を書いていくかもしれない(っていうか、書きたい)。

 

 

 

以下twitterでつぶやいていた感想の断片をメモ程度に書いておく。今のところ一番「おお!」と思ったのは『ムーミン谷の夏まつり』だ。↓↓

 

『たのしいムーミン一家』について

なぜか『たのしいムーミン一家』を読み終えてしまった。ムーミンシリーズの小説は全部で9巻くらいあるのか? 初めて読んだ。この巻は魔法について印象に残るエピソードだ。講談社文庫版を読んだけれど翻訳がちょっと微妙……汗。久しぶりにすごく素朴なおはなしを読んだ気分。

ムーミンシリーズはたぶんだけど、キャラクターグッズの可愛さほどほのぼのした物語ではないのだろうな、とは思った。『たのしいムーミン一家』という優しい雰囲気の作品でも細かくここのエピソードをみていけば「あいつ嫌いだからどうなってもいいや」的ないじわるとか、綺麗じゃない感情も描かれてる

それにしても、最初のほうのスナフキンの登場と、終わりのほうの旅立ちは印象に残る。特に旅立ちの、笹舟の流れによって強調された空間の広がり、その広がりへ旅立つスナフキンの遠ざかるハーモニカ。味わい深い……。このキャラクターが愛される理由がわかったような気がする。

 

ムーミン谷の夏まつり』について

ムーミン谷の夏まつり』は内容がどうのというよりは作品の構造が面白かった。「劇場」という場そのものや、「劇場」のもつ意味に登場人物たちが近づいていくのがわかってきたあたりから、面白くなった。ムーミンたちが「劇場」というものを知らなかったという設定も効いてる。

とかなんとか言いつつ、実は内容も楽しい笑。クールじゃないスナフキンのエピソードには癒されるよ笑。あと、洪水で家が水没するのだけど、ムーミン一家の人々の冷静さが笑。二階の床に穴を開けて水没した一階のキッチンを見たり、泳いでコーヒーの缶やら何やらを取りに行ったり。