言葉でできた夢をみた。

海の底からわたしをみつめる眼は、きっといつか沈めてしまったわたし自身の眼なのだろう。(書きながら、勉強中。)

2018-09-23から1日間の記事一覧

〈旅〉の終わりに、やっと始まる―プルースト『失われた時を求めて』第七篇「見出された時」

時を失いながら、旅するように本を読む。目的地らしきものはたぶん一生見つからないのだから、これは旅というよりむしろ彷徨とか、かっこつけなくて良いなら迷子とか言った方が的確かもしれない。平成最後の夏、などと言われているこの時の中で、私はひとり…

時に滲む散歩道の行き先―プルースト『失われた時を求めて』第六篇「逃げ去る女」

「だって、二重の意味でたそがれの散歩だったのですもの。」(92頁) 語り手とパリで同棲生活をしていたアルベルチーヌがある日、なんの前触れもなく出て行ってしまってから届いた手紙にこんな言葉があった。 二重のたそがれというのは、ふたりの関係が終わ…

詩的現実を思い出す言葉―マルセル・プルースト『失われた時を求めて』第五篇「囚われの女」

今回は『失われた時を求めて』第五篇「囚われの女」の感想を書いていきます。 マルセル・プルースト 著、鈴木道彦 訳 『失われた時を求めて9 第五篇 囚われの女Ⅰ(ソドムとゴモラⅢ第一部』、 『失われた時を求めて10 第五篇 囚われの女Ⅱ(ソドムとゴモラⅢ第…